“面接ではわからない”ブラック病院の落とし穴

求人票や病院説明会では「教育体制が充実」「働きやすい職場です」など、耳障りのいい言葉が並んでいました。
実際に私も、看護観が合いそうな雰囲気や、丁寧な対応を受けたことで安心して入職を決めたひとりです。
しかし、現場に入ってみて気づいたのは、「表面上の印象と実態が全く違う」という事実。
入職後すぐに、過酷な勤務体制や人間関係の問題に直面しました。
この記事では、実際にブラック病院で働いた経験から、入職前に見抜くためのポイントをリアルにお伝えします。
実際に体験した“ブラック病院”の特徴とは?

人手不足が慢性化しており、有給も取れない
配属先は常に人手不足。
シフトはギリギリで回しており、欠員が出ても補充されることはほぼありませんでした。
有給は申請しても「この人数じゃ無理」「自分のことだけ考えないで」と却下。
年末年始や夏季休暇すら希望できない状況が続いていました。
教育体制が整っておらず、放置や見捨てられる空気
「見て覚えて」という風潮が強く、プリセプター制度は形だけ。
わからないことを聞いても「自分で調べて」と突き放され、ミスをすれば即注意。
先輩によって指導のばらつきもあり、誰を信じればいいのかわからない状況に。
お局やパワハラ上司が放置されている
新人に対して明らかに高圧的な態度を取る“お局”が存在。
目の前で怒鳴られたり、報告に行っても無視されたり、委縮する毎日でした。
上司も見て見ぬふりで、相談しても「あなたの努力が足りない」と言われる始末。
チーム全体がギスギスし、患者にも悪影響を与えているのが明らかでした。
タイムカードと実労働時間がまったく合わない
タイムカードは定時で打刻しても、「記録が終わっていない」「申し送りがある」と残業が当たり前。
1時間以上のサービス残業は日常茶飯事で、給与には反映されず、申請もできません。
時間外に行われる会議や研修も多く、身体的にも精神的にも限界でした。
「ここが怪しい」と感じた入職前のサイン

「アットホームな職場です」ばかり強調される
今思えば、説明会でも面接でも「アットホームな職場」「スタッフ同士仲が良い」というフレーズを何度も聞きました。
具体的な業務内容や教育制度についての説明は曖昧で、「和気あいあい」という言葉でごまかされていたのかもしれません。
見学時にスタッフの表情が硬い/疲れている
職場見学の際、すれ違ったスタッフの表情は皆一様に無表情で、あいさつもなし。忙しい時間帯だったとはいえ、ピリピリした空気が張り詰めていて、「本当に仲が良いのかな…」と違和感を覚えました。
面接でこちらの質問に曖昧にしか答えてくれない
「新人の離職率は?」「残業時間は月平均どれくらいですか?」という質問に対して、「基本的には定時で帰れますよ」「だいたい大丈夫です」といった曖昧な返答ばかり。
詳しく聞こうとすると話をそらされました。
SNSや口コミに“不自然な高評価”や“悪評が集中”している
入職後、口コミサイトを改めて見てみると、不自然なほど評価が高いコメントと、「入って後悔した」「新人が潰される」といったコメントが混在。
実際に働いた人の声を見極めることの大切さを痛感しました。
ブラック病院を見抜くためにできる対策

面接では「教育制度」「残業実態」「離職率」を具体的に質問する
質問には「数字」や「制度名」を含めて聞くのがポイントです。
たとえば、「月平均残業時間は?」「新人教育はどんな流れ?」など、具体的な回答を引き出す工夫をしましょう。
曖昧に答える病院は要注意です。
職場見学では“働いている看護師の様子”を観察する
忙しそうでもスタッフ同士が軽く声を掛け合っていたり、患者対応が丁寧だったりする職場は、信頼できる傾向にあります。
逆に、無言・不機嫌・雑な対応が多い職場は、内部の雰囲気も悪い可能性が高いです。
転職前には、第三者視点のリアルな情報を集める
口コミサイトだけでなく、看護師専門の転職エージェントを利用することで、職場の裏側や雰囲気を詳しく聞くことができます。
匿名で相談できるSNSやフォーラムも活用して、「今の現場の声」を参考にしましょう。
私がブラック病院から抜け出してわかったこと

退職するまでは「3年は続けなきゃダメ」「辞めたら負けだ」と思い込んでいました。
でも、辞めてみて気づいたのは、「合わない場所で無理をしても、自分を消耗するだけ」だということです。
転職先では人間関係も穏やかで、先輩も親切。
初めて「ここでなら頑張れる」と思える職場に出会えました。
看護師としてのやりがいやモチベーションも戻り、自分らしさを取り戻せたと実感しています。
“ここは違うかも”と感じたら、自分の感覚を信じていい
ブラック病院は確かに存在します。
そして、それは誰もが入ってしまう可能性があるものです。
でも、違和感を感じたときにその直感を信じること、事前に情報を集めること、自分を守る選択をすることは、決して間違いではありません。
今の職場に不安や限界を感じているなら、無理をせずに一歩引いて考えてみてください。
新しい環境に変わるだけで、心と体がラクになることもあります。
あなたの人生を大切にできる職場を、ぜひ見つけてください。